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シリーズ物を読破しているマニアの方も、作品紹介は読まれたし |
オムニバス作品の良いところは、目当ての作品以外を読む機会ができることで、新しい作家への入口のしきいを下げてくれることだ。SFに限らずシリーズものは初心者を寄せ付けないファンの思いれで固まっていたりするので(巻数が多い作品ではなおさら)、有名な作品であっても食わず嫌いになったりする例もあるだろう。
6編のオムニバス作品を収める本書は、そんな高いしきいの向こうにあるシリーズものの世界をかいま見させてくれる。グィン、ブリン、シルヴァーバーグ作品に改めて感心してしまった。
収録作品そのものも良いのだが、作品毎に用意されている作者によるシリーズの紹介が楽しい。内容や語り口が作者の個性を反映しているのだなと思うと、それがすごく嬉しいのである。シリーズ物を読破しているマニアの方にも、ここだけでも目を通して貰いたい。
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「21世紀の御三家」揃い踏み! |
H・G・ウェルズ、ジュール・ベルヌ以後のSFの「御三家」といえば、アシモフ、クラーク、ハインラインですが、「21世紀の御三家」はオースティン・S・カード、デビッド・ブリン、そしてJ・P・ホーガンとなるのではないでしょうか?(当然他の作家を推す方もいらっしゃるでしょうが、この3人のうち1人は「ベスト3」に入るでしょ?)
その3人中カードとブリンの作品が編まれたこのアンソロジーは、SFファンには「買い」でしょう。
ただし、「モトネタ」となる各シリーズを読んでいるという前提つきですが(巧く、それとなくは触れてありますけど;逆に言えば、未読の方はこの機会に「本編」もお読みになることをお勧めします!)。
著者自身による「前書き」も内容が充実しており一読の価値はあります。
作家陣の「鮮度」でいうと、もしかすると「2」の方が上かもしれませんが、「モトネタ」の人気から言うとやはりこちらに分がありますか。
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お勧め感のある一冊 |
複数作家のアンソロジーは印象がばらばらになりがちで、 あんまりおもしろくないものが入っていたりするが、この本については、わりと人気のあった本やシリーズの関連作品みたいな作品が収められているので、なかなか楽しめるお徳感がある1冊だと思う